自営業に適した仕事

自営業の仕事

リスクが少ない仕事

自営業に向いている仕事=リスクが少ない仕事だ。

資格が必要な仕事

特に取得が難しい資格、国家資格が必要な仕事は、自営業としてやりやすい。なぜなら資格取得のハードルが参入障壁になるので、レッドオーシャンになりにくいからだ。

固定費がかからない業態

売上が不安定になりやすいので、固定費をなるべく抑えたい。事務所や店舗が必要な商売は、自営業、特に個人事業主には難しい。じゃあ、家賃が安いところを店舗にしよう、と考える人がいるが、家賃が安い物件は、商売に向かない物件だから家賃が安いのである。飲食業で失敗する人の原因の多くはこれらしい。私もリーマンショック以降、売上の減少に合わせて何度か事務所を移転したが、一度、撤退戦になってしまうと気持ちも後ろ向きになり立て直すのは難しい。最初から自宅兼事務所でできる仕事をやっている人達の方が、個人事業主として長期的に安定して続けられるようだ。

人を雇わずにできる仕事

人手不足も当面、悪化する一方の今において、人手を確保する必要がある業種は難しいと思う。知り合いで、貯めたお金でスタッフを雇ってYouTuberになろうとした人がいた。約300万注ぎ込んだが結果を出せず、半年ほどで挫折してしまった。リーンスタート(lean start)できる仕事、ひとりで細々と続けられる仕事が自営業には向いている。企業の場合、社員の給料が払えなくなったら倒産だが、個人事業主である場合、給料が遅配になっても文句を言う人はいない。法人化していても自分が自分の会社に給料分の金額を「貸しました」と帳簿上に記載されるだけだ。かなり厳しい状況になっても、すぐに詰んでしまうことはない。

天候の影響を受けない業種

ただでさえ売上が安定しないので、さらに天候や異常気象の影響を受けやすい業種は避けたほうが良い。季節商品を扱う業種は、冷夏や猛暑の影響を考えなければいけない。

大手が狙わない、ニッチな仕事

簡単にもうかる業種だと大手が参入してきて、あっという間に全部持っていってしまう。大手が注目しても、わざわざ手を出してこないような業種が良い。そういう点で、イラストレーターやデザイナーは
自営業向け、個人事業主としてやりやすい仕事だと言える。

人脈がすでに確保できている仕事

仕事をもらえそうなルートが複数あり、さらに横のつながりもできている仕事であれば、業種を問わず、自営業でもできるはずだ。悩む必要はない。

「枯れた」仕事

環境の変化で急に登場した仕事、脚光を浴びた仕事は、急に消えてしまう可能性もあるので、要注意だ。ウェブの世界ではよくあることだと思う。古い話で恐縮だが、かつて「フラッシャー」と呼ばれる人達がいた。AdobeのFlashというソフトの使い手たちで、2010年ごろ、栄華を極めていたが、Flashにセキュリティ上の問題があることなどを理由にAppleなどから締め出しをくらい、それから10年ほどで滅亡してしまった。環境の変化が激しいと、新しい技術への需要が発生するので、チャンスも多いがリスクも多い。それよりも少し古い、枯れた技術を使う仕事の方が、自営業としては安定するので、取り組みやすいと思う。

同時にスキルアップができる仕事、キャリアアップにつながる仕事

ここまでは、リスクの少ない仕事の列挙になってしまったが、自営業に適した仕事として、忘れては行けない要素がひとつある。その仕事をすることで、知見が得られる、スキルアップにつながる、他の仕事を請けるための実績になりうる、そういった要素だ。リスキリングという言葉が流行っているが、その必要性は中高年の会社員に限った話ではない。しかし個人事業主、なかなかリスキリングの時間を確保するのが難しい。仕事を断ってまでリスキリングしていると収入が減ってしまう。だが、リスキリングにもなるような仕事をすれば一石二鳥で、収入を得ながら仕事の幅を広げることもできる。仕事の幅が広がれば、リスクの分散にもつながる。自営業に向いている仕事、というのとちょっとニュアンスが違うかも知れないが、これはアタマに入れておくべきところだと思う。したがって(職業差別的なことを言うつもりはなく、あくまで個人的な意見だが)、単純作業など経験が評価されにくい仕事は自営業としては避けたほうが安全だ。一時的なアルバイトならともかく、長期にわたって従事すると、いつのまにか大きなリスクを抱えてしまうことになる。